春の訪れを感じさせる海産物のひとつ・ホタルイカ。2月に入って雪解けの知らせと共に徐々にスーパーなどの店先にも並ぶようになります。
3月になるといよいよ富山湾内のホタルイカ漁も解禁となり、流通量も一気に増えてくるので皆さんのおうちの食卓に並ぶ機会も増えてくるのですが、最近は流通も非常に良くなっているので鮮度の良さそうなホタルイカをスーパーなどでも見かけることもありますよね。
でも、そんな鮮度抜群のホタルイカでも絶対にしてはいけない調理法がありますので今日はそのお話を少し。
絶対にしてはいけないホタルイカの調理法とは？
もう答えを書きます。それはズバリ生食(なましょく)です。
鮮度が良いとついついお刺身にしたくなるのが日本人の人情ですが、そこはグッとこらえて加熱してから召し上がってください。
どうして生食がダメなのか？
- 鮮度がいいんだからお刺身にして何が悪いの？
- 念のために生姜とか大葉を一緒に食べればいいんじゃないの？
という気持ちになるのも判るのですが、実は鮮度の問題ではありません。
ホタルイカの体内に寄生虫がいる可能性があるから生食はしてはいけないんです。
あの親指ほどのホタルイカにも寄生虫がいるのか？と私も不思議に思っていたのですが、旋尾線虫という虫の幼虫が生息していることがあるらしいんです。そしてご存知のように寄生虫はそのまま生で食べてしまうと、体内で活動して胃や腸を食い荒らして激痛に苦しむということになります。
この件についてはホタルイカの本場・富山県庁のホームページにも記載されていますのでどうぞ↓。
富山湾の春の味覚、ホタルイカ。
そのホタルイカから皮膚疾患や腸閉塞を起こす寄生虫、旋尾線虫（｢せんびせんちゅう」と読む）幼虫が検出されることがあります。
ホタルイカを生で食べる場合は注意が必要です。
富山県庁のウェブサイトより引用
他のイカは刺身で食べているのになぜ？
ちなみに他の種類のイカにも似たような寄生虫がいる可能性はあります。なのにどうして他のイカはお刺身で食べられるの？と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、その寄生虫対策としてイカは必ず短冊に細かく切ったり、お寿司などで大きくカットする場合でも表面に細かく切り込み(飾り切り)を入れています。こうして細かくすることで万が一寄生虫がいても取り除いたり切って殺すことが出来るんですね。
安全にホタルイカを味わうには
では、どうすれば春の風物詩・ホタルイカを安全に食べられるのか？大きく分けて２通りの調理法があります。
1.加熱する
まず一番オーソドックスなのは、火を通すということです。スーパーや魚屋さんでも他の魚は生のまま店先に並んでいるのにホタルイカだけは茹でたものが置いてあるのも主にこれが理由です。もちろん美味しい食べ方だということもあるのですが。その他なら野菜炒めやパスタなどに入れても美味しいですよ。
2.一度凍結する
どうしても加熱しないで食べたければ凍結するという方法もあります。寄生虫が万が一いたとしても、事前に凍死させておけば体内で暴れることもありませんのでね。
この方法についての基準は以下の通り厚生労働省から指針も出されています。
1.生食を行なう場合には、次の方法によること
- －３０℃で４日間以上、もしくはそれと同等の殺虫能力を有する条件度凍結すること(以下省略)。
- 内臓を除去すること。または内臓除去が必要である旨を表示すること。
注. 金沢市保健所の方に電話でお聞きしたところ、内臓を取り除くことでもかなりのリスクを減らせるが、内臓以外の部位に寄生虫がいる可能性も否定できないので、できれば凍結させてから食した方が望ましいそうです。
ホタルイカには様々な加工品があります
このようにホタルイカは生(鮮魚)のままでお刺身にするのは危険ですが、代わりに様々な加工品が古くから存在します。ご飯のお供から酒の肴まで幅広くありますので、これらを活用して食卓に彩りを添えるのもありですね！
ホタルイカの加工品あれこれ
まず思い浮かぶのがホタルイカの醤油漬け。いわゆる沖漬けです。多くの場合は一度凍結された原料を使いますのでそもそも問題ないのですが、もし凍結されないていない生ホタルイカを使っていたとしても醤油の塩分で寄生虫も死んでしまいますので安心ですね。
同じくホタルイカの黒作り。塩辛にイカ墨を加えてまろやかにしたものです。
あの小さいホタルイカを丁寧に１尾ずつ網に並べて干した手間ひまの掛かった酒の肴。軽く炙って食べると最高です。
生食用のホタルイカも開発されています
どうしても生食で食べたい！という人向けに生食用凍結をした商品もあります。上の厚生労働省の基準を満たした環境で急速凍結＆低温保管してあります。これなら安心ですね。
この商品なら生食できますのでしゃぶしゃぶで頂いたりもできます。まだ朝夕は冷え込む春先にはもってこいのメニューです。
