冷凍のムキエビはなぜ炒めると小さくなってしまうのか? 逆に炒めてもプリップリのムキエビもあるのはなぜ? ~知られざるムキエビの秘密大公開♪~

今朝、Twitterを更新していたらこんなツイートを発見。中華丼、メッチャ美味しそう・・・。

確かにそう言われればムキエビって加熱するとメッチャちっちゃくなる(怒)!って嫁さんも怒ってたことあるよな・・・。

ということで、今日はムキエビのお話を。

冷凍ムキエビには2種類のタイプがあります

むきえび

皆さんが一般的にスーパーなどで買われるムキエビは中国やベトナム・タイなどの東南アジア諸国で加工(殻むき)されているものが多いと思いますが、それらの水産加工場では消費者のニーズに合わせて


  • 保水剤ありのムキエビ
  • 保水剤なしのムキエビ

の2種類を製造している場合が多いです。保水剤とはその名の通り水分をエビの身に保つための食品添加物で、加熱してもプリプリとした食感や透明な色合いを残すために結構一般的に使われています。

保水剤が入っているかどうかの見分け方

保水剤が入っているか、の見極めは簡単で、パックに貼ってある食品表示ラベルで確認できます。保水剤は一般的に「リン酸塩」や「pH調整剤」と表示されているため、それらの表示があれば保水剤使用のムキエビという事になります。

むきえび原材料表示
原材料等表示部分を確認すれば保水剤を使っているか、判ります。

保水剤が使われている理由

保水剤が使われている理由はズバリ!
加熱しても縮まずにプリプリとした食感を残すためなんです。

解凍したむきえび
完全解凍しても水分があまり抜けないものは保水剤を使用している場合が多い。

最近は保水剤入りのムキエビが多く出回っていて、我々もそれに慣れてしまっているので海老が縮んでしまうと気になってしまうのですが、本来のムキエビは解凍・加熱すると水分を失って縮むということなんです。

一般的には炒め物に使ったりして加熱すると小さくなるムキエビというのは、保水剤を使用していないから、という場合が多いです。また、少しでもエビを大きく見せた方が売れやすいので保水剤を使っていなくともエビに水分を注入して大きく見せている場合もあり、その場合も加熱すると無理やりエビに注入していた水分がなくなってしまいますのでかなり縮んでしまいます。

つまり、何も加えていないムキエビは加熱すると水分が抜けて縮んでしまい、加熱してもプリプリとしたムキエビは保水剤の効果で水分が抜けないから縮みにくい、ってことなのね。

その他、小さく見える理由としては、一般の方はどうしてもエビと言えばブラックタイガー海老やバナメイエビをイメージされることが多いのですが、廉価なムキエビの場合はそもそもエビの種類が違っていて小ぶりなものも多いので加熱するとより小さくなっているように感じるケースもあります。

保水剤を使用していても小さく感じる理由

冷凍状態のむきえび ただ、実際に料理をしていると加熱する前でも

あれっ? ムキエビ、こんなに小さかったっけ?

と解凍して置いておいただけなのに海老が小さくなったように感じる場合もありませんか?

その場合は恐らくグレーズが原因です。

多くの冷凍食材は冷凍保管中の乾燥やいわゆる冷凍ヤケを防ぐためにグレーズという氷の膜を張る工程があります。下の画像をよ~く見て頂くと、エビの表面を薄い氷の膜が覆っているのが判ると思います。これがそのグレーズです。 グレーズ付きのむきえび

グレーズは冷凍食材の品質劣化を防ぐために欠かせないものなのですが、製造元によっては商品価格を安く見せるためにこのグレーズを必要以上に商品に付けることがあります(ムキエビやシーフードミックスは尾数ではなく重量で取引されるため)。

このようなグレーズがたくさん載ったムキエビを解凍すると、そのグレーズ(氷の膜)が一緒に解けてしまい正味のムキエビだけが残ることになるので減ったように感じるのです。これが小さく(少なくなったと)感じる原因です。

この判別は商品表示ラベルの内容量のところを確認して頂くと判るのですが、グレーズを乗せている商品は
内容量: 1kg(正味重量600g)
というような表記になっていると思います。この例ですと1キロパックの商品で売られていますが、正味の海老は600gしか入っておらず残りの400g(なんと40%も!)はグレーズ(≒水)ということになります。つまり、メーカーとしては600gのエビを1kgとして販売することが可能になりますので、消費者の皆さんに安いというイメージを持たせることが可能になります。

ちょっと騙されたような気分になりますのでこの類のグレーズが過度に付いている商品は当店では取り扱わないようにしていますが、世の中にはこのような商品も存在するということはお伝えしておきますね。

以上、ムキエビの秘密大公開!でした。皆様のお買い物やお料理の際の参考になれば幸いです。

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