冷凍のカニは「生」と「ボイル」どっちがいい?|用途別の正解を解説

こんにちは。おさかな料理の柴田屋、店長の柴田です。

「カニ鍋をしたいんだけど、生とボイル、どっちを買えばいいの?」

お客様からよくいただくご質問です。結論から申し上げると、「どう食べたいか」で選べば失敗しません

  • 鍋・しゃぶしゃぶ・焼きガニ → 生冷凍
  • 解凍してそのまま食べたい → ボイル冷凍

この記事では、生冷凍とボイル冷凍の違いを科学的な根拠も交えながら、分かりやすく解説いたします。

生冷凍とボイル冷凍のズワイガニの比較写真。左は生冷凍で殻が薄茶色、右はボイル冷凍で殻が赤橙色
左:生冷凍(薄茶色) / 右:ボイル冷凍(赤橙色)

3秒で分かる結論

食べ方 おすすめ 理由
カニ鍋・しゃぶしゃぶ 生冷凍 出汁が出て、雑炊まで美味しい
焼きガニ 生冷凍(香ばしさ重視)
ボイル冷凍(食べやすさ重視)
生は香ばしく焼ける、ボイルは身離れが良い
解凍してそのまま ボイル冷凍 解凍するだけで食べられる
ギフト・贈り物 ボイル冷凍 届いてすぐ食べられる安心感

そもそも「生冷凍」と「ボイル冷凍」は何が違う?

見た目の違い

もっとも分かりやすいのは殻の色です。

  • 生冷凍:殻が薄茶色〜ベージュ
  • ボイル冷凍:殻が鮮やかな赤橙色

スーパーや通販サイトで迷ったら、まず殻の色を確認してみてください。

生冷凍のズワイガニ。殻が薄茶色でグレース(氷の膜)が付着している
生冷凍:殻が薄茶色
ボイル冷凍のズワイガニ。殻が鮮やかな赤橙色
ボイル冷凍:殻が鮮やかな赤橙色

加工の違い

  • 生冷凍:水揚げ後、生のまま急速冷凍
  • ボイル冷凍:塩水で茹でてから冷凍

この加工の違いが、味わいや向いている調理法の違いにつながります。

中身の違い(これが重要です)

生冷凍は「生の状態のタンパク質」がそのまま残っています。一方、ボイル冷凍は「加熱で固まった状態」です。

この違いが、鍋に入れたときの「出汁の出方」や「食感」に大きく影響します。

なぜ「鍋」には生冷凍がおすすめなのか

カニ鍋の醍醐味は、最後の雑炊ではないでしょうか。あの旨味たっぷりの出汁は、生冷凍だからこそ生まれます。

出汁が出る科学的な理由

生冷凍のカニを鍋に入れると、加熱によって身の中のグルタミン酸イノシン酸といった旨味成分がスープに溶け出します。昆布出汁のグルタミン酸と合わさることで、旨味の相乗効果が生まれ、雑炊まで美味しく楽しめるのです。

ボイル冷凍を鍋に入れると…

ボイル冷凍はすでに一度茹でられているため、鍋に入れると「二度茹で」の状態になります。

タンパク質は一度目の加熱で変性・固定されており、再加熱すると繊維がさらに収縮して水分が抜け、身がパサついてしまいます。また、旨味成分は最初の茹で汁に流出済みのため、鍋の出汁にはあまり旨味が移りません。

「ボイル冷凍でカニ鍋をしたら、なんだか物足りなかった」というお声をいただくことがありますが、これが理由です。

カニ雑炊
生冷凍なら、雑炊まで旨味たっぷり

ボイル冷凍が向いている場面

ここまで読むと「生冷凍の方が良いのでは?」と思われるかもしれませんが、ボイル冷凍にはボイル冷凍の良さがあります。

解凍するだけで食べられる

ボイル冷凍の最大のメリットは手軽さです。冷蔵庫で解凍すれば、そのまま食卓に出せます。調理の手間がなく、届いたその日に楽しめる安心感があります。

味が安定している

プロが塩加減を調整して茹でているため、味のブレが少なく、どなたでも美味しく召し上がれます。「自分で茹でて失敗したらどうしよう」という心配がありません。

ギフトに最適

届いた方が解凍するだけで食べられるボイル冷凍は、贈り物として安心です。相手の方に調理の負担をかけずに済みます。

重量変化が少ない

生冷凍は加熱すると身が20〜30%ほど縮みますが、ボイル冷凍はすでに加熱済みのため、解凍後の目減りがほとんどありません。

ボイル冷凍のズワイガニを皿に盛り付けた様子。解凍するだけで食卓に出せる
ボイル冷凍は解凍するだけで食卓へ

焼きガニはどっちを選ぶ?

焼きガニについては、何を重視するかで選び方が変わります。

香ばしさ重視なら「生冷凍」

生冷凍を焼くと、加熱によって身の表面が香ばしく焼き上がり、カニ本来の甘味と焼きの香りが楽しめます。殻からジュワッと出る汁も旨味の塊です。

ただし、生冷凍は殻に身がくっつきやすいため、半解凍の状態で焼き始め、蓋をして蒸し焼きにすると身離れが良くなります。

食べやすさ重視なら「ボイル冷凍」

ボイル冷凍は加熱済みのため、身離れが良く、殻から外しやすいのが特徴です。お子様やご年配の方がいらっしゃるご家庭では、食べやすさを優先してボイル冷凍を選ぶのも良い選択です。

ただし、焼きすぎると水分が抜けてパサつくため、温める程度に留めるのがコツです。


焼きガニの調理風景。殻の表面が香ばしく焼けている
焼きガニは香ばしさか食べやすさで選ぶ

生冷凍を選ぶときの注意点「黒変」について

生冷凍には一つだけ注意点があります。それが黒変(こくへん)です。

黒変とは

生冷凍のカニを解凍して放置すると、身や殻が黒っぽく変色することがあります。これは、カニに含まれるチロシン(アミノ酸)が酵素の働きで酸化し、メラニン色素が生成されるために起こります。

食べても害はありませんが、見た目が悪くなるため、せっかくのカニが台無しになってしまいます。

黒変を防ぐコツ

  • 解凍は食べる直前に:解凍後30分以内に調理を始めるのが理想です
  • 半解凍で調理開始:中心部が少し凍っている状態で鍋や焼きに入れると、黒変のリスクを減らせます
  • 解凍後は空気に触れさせない:ラップをかけるなどして酸化を防ぎましょう

詳しい解凍方法は、冷凍カニの解凍ガイドで解説しています。

黒変したカニの例。解凍後に放置すると身が黒っぽく変色する
解凍後の放置で起きる「黒変」の例(食べられますが見た目が悪くなります)

家庭だからこそ味わえる「生冷凍」の贅沢

温泉旅館や飲食店では、ボイル冷凍を選ぶお店が多いのをご存知でしょうか。

これは、大量調理の現場では解凍から提供までの時間管理が難しく、黒変のリスクを避けるためです。ただし、その美味しさから、あえて生冷凍を提供しているお店もたくさんあります。解凍から提供までの時間を徹底管理できるお店だからこそ、生冷凍の魅力を最大限に引き出せるのです。

一方、ご家庭では人数分だけを解凍して、すぐに調理を始められます。解凍から鍋に入れるまで30分以内で完結できるご家庭こそ、生冷凍の旨味を最大限に引き出せる環境なのです。

出汁の旨味、ふっくらした身の食感、そして雑炊の贅沢。これらは「解凍したてを自分で調理する」家庭だからこそ味わえる特権です。

生冷凍のズワイガニと土鍋、昆布、ポン酢を揃えた鍋の準備風景。家庭でカニ鍋を始める前のセッティング
ご家庭で生冷凍のカニ鍋を楽しむ準備

よくある質問

Q. ボイル冷凍でもカニ鍋はできますか?

A. できますが、出汁の旨味は控えめになります。ボイル冷凍を鍋に入れる場合は、煮込みすぎず、温める程度に留めると身が硬くなりにくいです。出汁を楽しみたい場合は、市販のカニ出汁を足すのも一つの方法です。

Q. 生冷凍は「生食」できますか?

A. 「生冷凍」と「刺身用」は異なります。生冷凍は加熱調理を前提とした商品ですので、必ず火を通してお召し上がりください。刺身で食べたい場合は「刺身用」「生食可」と表記されたものをお選びください。

Q. スーパーで見分ける方法は?

A. 殻の色を確認してください。薄茶色〜ベージュなら生冷凍、赤橙色ならボイル冷凍です。また、パッケージに「生冷凍」「ボイル」「加熱用」などの表記がありますので、そちらも参考にしてください。

Q. 黒変したカニは食べられますか?

A. 食べられます。黒変は酵素による酸化反応で、腐敗ではありません。ただし、見た目が悪くなるため、解凍後は早めに調理することをおすすめします。

まとめ:食べ方で選べば失敗しない

生冷凍とボイル冷凍、どちらが良い・悪いではなく、「どう食べたいか」で選ぶのが正解です。

  • 鍋・しゃぶしゃぶ・焼きガニで旨味を楽しみたいなら → 生冷凍
  • 解凍してすぐ食べたい、ギフトで贈りたいなら → ボイル冷凍

ぜひ、ご家庭の食卓に合わせてお選びください。


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